こんにちは、現役人事コンサルタントの高橋と申します。
これまで10年間上場企業からベンチャー企業に至るまで様々な会社で人事を歴任してきました。
1万人を超える新卒学生の採用を経験しています。
現在はインテリア関係の会社で人事コンサルタントとして、採用支援から制度設計支援を行っております。
今回はそんな経験の中から、留学生の方が提出してくるESの内容で「これはあまり良くないな。むしろ悪い内容だな」と感じたものを記載させていただきます。
少し長くなりますけれど、最後までお付き合いくださいね。
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目次
留学経験者の悪いES:留学経験を前面に出してESを書いても効果は薄い
留学経験を前面を押し出してESを記入しても現在はあまり効果が出ません。
理由としては、あまり留学経験がレアなものではなくなったためです。
早稲田大学の国際教養学部を筆頭に、海外留学を日本語を母国語にする学生に対して1年間の海外カリキュラムをあらかじめ授業に組み込んでいる国際関係学部の乱立等により、海外留学経験のある学生は増えているためです。
留学経験の学生の総数が昨今では増加しているため、「留学経験者だから優秀だ」とは人事部も考えない風潮にあります。
留学経験を前面に出してESを作成しても、ほとんど効果はありません。
それどころか海外事業部を持たない会社の選考に挑んでしまった場合「うちの会社以外でもどこでもいいんじゃないか」と邪推される可能性もあります。
留学経験者の悪いES:留学経験を前面に出してESを書くと、具体性が薄れやすい
留学経験者で書類選考で落ちてしまう学生のESの特徴として、具体的に書かれていないということがあげられます。
具体的になぜ、どうして留学をしようと思ったのかをしっかりとESに記入して、その上で留学経験から学んだことを企業で活かすという姿勢が大切です。
また、志望動機になっていないというようなレベルのESを書いてしまう人もいます。
志望動機に留学経験を入れてしまうと、うまく書かないと的外れな文章になってしまうことがあります。
悪いエントリーシートの志望動機;
「やはり日本を支えているのは車です。私は車が好きです。これまで海外留学を経験してきましたし他社でも内定を何社かいただきましたが、海外留学経験を活かして、日本車を世界中に届けたいです。日本の車メーカーで働きいつか社長になりたいと考えています。」
いきなりやはりから始まる文章ははっきりいって分かりにくいですし、何よりも志望動機として成立していません。
エントリーシートの基本として、読む人事担当者の方が一目で見て「この学生はしっかりと物事を考えられる学生だな」と伝わらないと採用される確率は低いです。
企業が大卒に求めている能力として、「論理的思考能力」と「問題解決能力」があります。
二つの能力を備えているという判断をエントリーシートでアピールできないと書類選考の通過は難しいといえます。
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留学経験者の悪いES:ESを作成させる目的を明らかに把握していない
好景気時と不景気時ではエントリーシートを作成してもらう目的が変化してきます。
ESは2010年前後まではどちらかといえばリーマンショックの時期だったため、内容的には「しっかりとした優秀な学生を採用する」という目的でした。
翻って昨今は人手不足により「はっきりいって採用ラインから下になっているけれど、採用しないと他社に出遅れるため、もうある程度の水準以上の学生でも内定を出す」という方法に切り替わっています。
リーマンショック時は優秀な学生をできるだけ選び抜くというスタンスでしたが、2016年以降は未曽有の人手不足に対応するため柔軟な採用基準になっているという状態ですね。
リーマンショック時のような採用難の場合には「少しでも優秀な学生を確保したい」という状態だったので留学経験者のように少し他と変わったことをしていると採用される可能性があった時期もありましたが、ここまで採用基準が下がっている現在では、留学経験の有無よりも他の要素でアピールしないと大きなアピールになりにくい状態となっています。
留学経験者の悪いES:ビジネス文章らしいESになっていない
海外留学経験を活かしたESを書いていても、文章の書き方が分かりにくいと採用担当者に響きません。
ESがビジネス文章らしくなっていない就活生の方が非常に多いです。
学生なのでまだまだ仕方のない部分がありますが、エントリーシートは小説ではありません。
自分自身のこれまでの経験をなぞりながら、わかりやすく簡潔に書くことが求められています。
なんとなく文章を書くのではなく、結論から書くようにしてみてください。
論文調のエントリーシートでも通過することは可能ですが、一目見た瞬間に自分自身のアピールポイントが伝わるようにESを作成する必要があります。
結論から書いていく方法をESに活用するようにしてください。
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留学経験者の悪いES:留学経験が短いと、「遊んでいたのかな」と取られることもある
ESにおいては、留学経験者はできるだけしっかりとした勉強をしてきたとアピールする必要があります。
留学生経験を前面に出すのも良くないですが、最低限語学については他より抜きんでているという印象をESで与えないと採用される可能性は低くなります。
特に海外留学経験者でセブ島留学などで海外留学を行った場合には注意すべきことがあります。
留学経験者の悪いES:実際にあったトンデモ事例。海外留学経験があだに
海外留学経験者ということで新卒で採用して、海外営業部門に配属する予定で採用した学生がいました。
会社側が入社前に履歴書に書かれた「TOEIC700点」を取得したということと、大学も関関同立の一つの出身者で総合職として採用したのですが、入社半年後に実施したテストではなんと「TOEIC300点台」に落ちてしまっていました。
激怒した人事課長が本人に「嘘をついたのか」と1時間以上にわたって問い詰め入社前のテスト結果を見せてもらったところ確かに履歴書に書かれた通りのハイスコアを獲得していました。
語学力は結局、勉強しなければ落ちていくので、入社時に仮に英語能力が高くても入社後に磨かないと全く意味がないなとわかったエピソードでした。
こうしたことを経験している企業もあるため、単純な語学能力だけで採用はしないほうがよいと考えている上場企業が存在します。
特に短期留学でテストの点数が勉強しないと落ちる可能性のあるTOEICなどは面接の場でアピールしても「点数が下がる可能性があるから」と敬遠される場合もあります。
過度にESに語学留学の経験を書いても響かない可能性が高いのはこうした事例からも分かるように一定期間使用しないと下がるという部分があるためです。
TOEICでハイスコアを獲得していたとしても安心できないということが多々あるんですね。
特に過度にESで語学能力について記載してアピールして、入社後のテストの段階で点数が下がってしまうと内定取り消しなどにはめったになりませんが、いきなり人事からの印象が悪い状態で仕事をする羽目になることもあり得るという一例です。
留学経験を過度にアピールしてももしも入社後に英語力や語学能力が落ちたら大きなマイナス印象から社会人のキャリアをスタートする可能性もあるということですね。
さてここまでは留学生のESを見てきてとても悪いと感じた部分について書かせていただきました。
次は、留学生のESでこれはとても良いなと感じたESの内容についてご紹介させていただきます。
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