こんにちは、現役人事コンサルタントの高橋と申します。
これまで私は上場企業人事、ベンチャー企業人事、非上場の大企業の人事、中小企業の人事担当者を歴任し、約10年間面接で1万人を超える求職者の方たちの面接を行ってきました。
現在は住宅建設会社様の人事コンサルタントとして経営者様の採用支援などを行うコンサルタントをさせていただいています。
今回は、そんな約10年間の経験の中から、「この面接の答え方はやめておいたほうが良いね」というような、印象の良くなかった日本人留学経験者の面接について解説させていただきます。
少し長くなりますが、どうか最後までお付き合いくださいね。
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目次
留学経験者の面接:留学生経験をアピールしすぎると失敗しやすい。配属先は入社前に決まっている。
留学経験があることは非常に素晴らしいことなのですが、留学生経験をアピールしすぎると面接に落ちやすい傾向にあるんです。
私の経験からすると、日本人留学生の悪いところは過剰に留学生経験をアピールしてしまうところかなと思います。
基本的に日本の企業では、大企業で海外展開を積極的に行っているようなグローバルな会社であっても、まだまだ海外事業所にいきなり配属されることは少ないといえます。
理由としては、人事としては採用計画を予め企画立案して採用する新卒をどこに配属するかはもう入社前に決定しているからなんですね。
新卒は毎年、各部署で争奪戦になります。
日本の大企業の場合は新卒しか採用しないというスタンスを貫いている企業も多いので、各部署で人手不足状態に陥っていたとしても極端な人手不足でない限りは毎年4月に入ってくる新入社員以外人員補充のチャンスがないんですよね。
もしも、この配属予定先に海外と関わりのある部署がなかったらもう英語力のアピールは効き目が弱いんです。
いったん配属されたら5年間で採用計画を組んでいる企業であれば5年間は人事異動がない可能性が高いんですね。
5年間使わないスキルを面接の場でアピールしても「5年間くらいは地方で営業とかやってもらうん予定なんだけど、嫌になってすぐ辞めてしまうんじゃないかな」と人事は不信になってしまうんです。
人事の退職リスクへの不安感を取り除く意味でも過剰な英語力アピールはしないようにしてみてください。
留学経験者の面接:留学した理由が就職先のビジネスにつながっていない。
新卒採用なので、ビジネス経験がないことは問題ないのですが、留学経験をせっかく得たにも関わらず、なかなか採用内定に結びつかない人がいます。
理由としては、留学した理由の部分をしっかり説明できていない可能性が高いです。
留学をして英語を学んだり、様々な国の人たちと交流してコミュニケーション能力を高めたと新卒の日本人留学生は口をそろえてアピールしますが、そもそも留学経験者であろうと日本国内でずっと過ごした学生であろうと、企業が求めているのは仕事に対する強い意欲を持った人材です。
「海外留学をして、語学力を磨いてきました。」というアピールは新卒採用の場ではハッキリ言うとアピールとしてはズレてしまっています。
企業が求めているのは優秀な人材ではありますが、ただ語学能力を磨くために留学したというだけでは、語学能力を磨くだけであればインターネットを活用するなど国内でもできることはあるのではないかと思われてしまいかねません。
ビジネスにつながっていないのですね。
もしも留学経験がせっかくあるのであればビジネスにつながるようなアピールをしてみてください。
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留学経験者の面接:日本企業のグループディスカッションはまとめる能力を求められている。
グループディスカッションで目立ちすぎていませんか。
新卒採用を行う際には、グループディスカッションを行う企業も多いのですが、グループディスカッションで意見を言いまくるだけ言って、仮に斬新な意見が言えたとしても、意見を出すだけではいけません。
理由としてはグループディスカッションで評価されやすいのは意見を言いっぱなしの人材よりも、意見をとりまとめる役割を果たす人か、周囲の意見を聞きつつも上手に自分の提案を主張できる人のためです。
日本企業を受ける場合は特に注意してほしい点で、日本企業で一番大切にされるのはチームワークです。
会社の就業規則の懲戒解雇事由に「著しく社内の風紀を乱したもの」という文章が入ってしまっているくらいに、日本企業はまだまだ自由に仕事をするというよりは、全体主義で仕事を推進するスタンスの企業が多いのが実情です。
意見を言いっぱなしで責任を取らない人材よりも、周囲の意見をしっかり聞きつつ、自分としてはこのように考えていると話せる人の方が好まれます。
留学経験者の面接:留学経験者はそもそも扱いにくいと思っている年配者も多い。
留学経験者に関しては、人事部長や課長クラスの中にはまだまだ扱いにくいのではないかという疑いを持っている方がまだまだいらっしゃいます。
理由としてはグローバル企業と世間では通っていたとしても、ずっと国内で仕事をしてきた人事部長、人事課長の方は非常に多いためです。
内定決裁権を持っている人事部長級はずっと国内の事業所にいた人も会社によっては多いので、海外留学生の扱い方がわからないという事情も手伝って、扱いづらいのではないかという懸念をしている方も多いです。
自分が経験したことがないことはなかなか理解できないものですし、不信感を持ってしまいがちです。
日本企業が新卒に求めているのは、定年まで勤められる無難な人材で、できれば現在会社にいる人材に近い人物です。
留学経験者が少数派になっている企業ではなかなか採用されにくいです。
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留学経験者の面接:外資系企業ばかり狙ってしまう
英語が得意だから外資系企業、というのは短絡的で失敗しやすいようです。
外資系企業の人事は経験したことがないためこれは推測になりますが、日本企業よりもシビアな採用基準で採用していることが多いようです。
外資系企業は日本企業のリストラよりももっと強力なレイオフという強硬解雇に近い形で社員を退職させることが慣例化している会社も存在します。
即戦力を大前提とした外資系企業では英語能力はあるに越したことはありませんが、短期間で高い給料を支払ってパフォーマンスを発揮してもらうということが前提である以上は入社してすぐに実力を発揮できないと居場所がなくなってしまう可能性が高いです。
海外で何かしらの職歴になるような難易度の高い仕事の経験がある人材であるならば、ともかくとして、まだ何のビジネスの経験のない日本人留学経験者が採用される可能性は非常に低いと推測されます。
私の友人でも何名かは外資系企業に就職しましたが、レイオフにあってしまって転職活動を余儀なくされた方がいらっしゃいます。
私の人事としての体感値でも、外資系企業ばかりを狙って戦力として活躍できなかった場合のリスクを考えれば、外資系企業ばかり狙うのは得策ではないと考えています。
今回は、少し暗くなってしまうような話題でしたね。
気分を害されてしまったら申し訳ありません。
でも、実際に採用活動を10年間、行ってきて、忌憚のない事実を述べさせていただきました。
では、次は実際にどのようにすれば面接に通るようになるのかを実例を交えてレクチャーさせていただきたいと思います。
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