企業は採用活動をするにあたり、多くの時間やコストをかけています。どの企業にとっても、内定の辞退は気分がよいものではありません。
そのため、電話で直接担当者と話し、内定辞退の意思を伝えたら、どのような反応をされるのかと不安に感じる人も少なくないことでしょう。
そこで、この記事では、内定辞退の実態と企業に配慮した正しい辞退の方法について紹介します。
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目次
実際に怖い思いをするものなの?内定辞退の実態
志望していた企業から内定をもらえることはうれしいものです。しかし、実際に就職できるのは1社のみとなるため、複数の企業から内定をもらったら、ほかの企業の内定は辞退しなければいけません。
内定を辞退する理由は人それぞれですが、最も多いのが「行きたい会社がほかにあるから」です。志望度の高い他社の選考が進んでいたり、内定が決まったりしたことで、志望度の低い会社を辞退する人は多くいます。
しかし、内定辞退の経験者は多くいても、いざ自分が辞退を申し出る立場になると、スムーズに辞退できないのではないか、何かいわれるのではないかと考えて怖くなってしまうことはあるでしょう。
内定辞退をした人たちのエピソードを見ると、やはり怖い思いをしている人は存在しています。たとえば、電話で辞退したい旨を伝えたら、そのまま1時間以上説教をされたというケースです。
企業担当者のなかには内定を断られたことへの不満から、いやがらせのように長い話をする人もいますが、なかには悪気はなく、ただもう一度考え直してほしいという思いから説教をする人もいます。しかし、どのような理由であっても、長時間一方的に責められることはつらいものです。
辞退するという立場であることから無駄に長い電話でも最後まで聞いてしまい、大きなストレスを感じてしまう人も少なくありません。
さらに、内定を辞退した当人だけではなく、その後輩にまで恨みをつなげる企業担当者もいます。「同じ大学の出身者を2度と採用しない」といった発言をされた例もあるのです。ほかにも「だまされた」「舐めているのか」など厳しい言葉で激怒されたというケースもあります。
しかし、一方では、内定辞退の連絡であっても、変わらず丁寧に対応してもらえている人は多くいるのが実際です。
別の企業から内定をもらったことを採用担当者に話すと「がんばってください」「おめでとうございます」と声をかけられたという例もあります。
ほかにも「残念です」とはいわれたものの、特にしつこく引き止められることもなくスムーズに内定辞退の手続きができたケースも多い傾向です。
内定辞退は企業にとって喜ばしいものではないという前提があるなかで、辞退を申し出ることは不安なことでしょう。現実として厳しい態度を取られる例もあります。
しかし、多くの企業は、誠実な対応で臨めば、きちんと理解してくれるため、正しい事態の方法とマナーは事前にしっかりと学んでおくようにしましょう。
内定は辞退してもいいもの?いつまでならOK?内定辞退の可否とタイミング
企業の採用選考が進み、最終選考をクリアするともらえるのが「内定」です。内定は採用選考の正式な合格を表します。ただし、選考の結果として企業から受けるものには「内々定」もあります。
「内定」と「内々定」は似た言葉ですが、意味が異なるためきちんと理解しておきましょう。
まず、内定とは、労働契約が正式に成立することを意味します。内定が出ると、企業は内定者に採用通知書を交付し、内定者は企業に対して内定承諾書や誓約書などを提出することが一般的です。
対して、内々定とは、口頭で雇用を約束することを指します。正式な書面で通知されることはなく、電話やメールなどで連絡が来ることが通常です。
内定は、原則、経団連による「採用選考に関する指針」で示された日付以降でなければ出すことができません。
しかし、実際の採用選考では、それ以前に内定が決まってしまうことがほとんどであるため、内定を正式に出すまでの期間、採用を約束する証として内々定が出されるのです。
このように、内定と内々定とでは労働契約の成立の有無に違いがあり、法的に受ける重さが異なってきます。内々定は、あくまでも口約束です。
内定と比べると約束に対する責任の重さは軽くなります。
ただし、当然ながら企業が正当な理由なく一方的に取り消せばイメージダウンとなるため、通常であれば簡単に取り消されることはありません。しかし、法的には企業側からも内定者側からも自由に取り消すことはできます。
一方、内定は企業と内定者で取り交わす正式な契約です。企業が出した内定を示す採用通知書に対して、すでに承諾書や誓約書を提出していればば契約は成立していることになり、内定を辞退するということは一度結んだ契約を破棄することになります。
一般的には、正式な契約を一方的に破ることは法律違反であり、場合によっては損害賠償を請求されることもある事案です。
しかし、採用の内定においては、民法の627条1項で定められた法律により、実際に働き始める日の2週間前までであれば解約できるとされています。
ただし、内定には入社を約束する契約書という本来の意味があることを忘れてはいけません。また、2週間はあくまでも法律上で辞退できる最低期限です。
採用試験や面接などでたくさんの時間やコストをかけて選んでくれた企業に対しては、誠意ある対応を取ることが社会人としてもマナーとなります。内定を辞退する決断をしたら、できるだけ早く連絡するようにしましょう。
また、留年で内定を辞退する必要がある方は「内定を受けたのに留年しそう!対処法と注意点を紹介」こちらの記事もご覧ください。
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メールだけでも大丈夫?どのように伝えればよい?内定辞退の方法とは
内定を辞退する際には、最初に電話をかけ、次にメールを送るという2ステップで連絡すると万全です。内定を辞退する意思を伝えるだけであれば、メールだけでも構いません。しかし、一方的にメールを送り付けて辞退の手続きを済ませてしまうのは誠意が感じられない行為です。
内定を出してくれた企業へお詫びの連絡は、お互いにきちんとコミュニケーションが取れる状態で行わなければいけません。場合によっては、企業から厳しいことをいわれるケースもありますが、どのような状況となっても最後まで誠意ある毅然とした態度で臨み、気持ちよく解決するようにしましょう。
電話を掛ける前には、緊張や動揺で伝え忘れることがないように、話したい内容を事前にメモ書きしておくと安心です。必ず伝えておきたいポイントは大きく2つあります。
1つ目が「内定を辞退するという意思」です。会話の雰囲気で何となく察してもらおうなどと考えてはいけません。必ず、はっきりと明確に辞退の意思を伝えておくようにします。
2つ目のポイントは「お詫びのことば」です。内定辞退は期限さえ守れば法律で認められていることであり、就業する企業を選ぶことはすべての人の権利です。
しかし、自分が内定を辞退することで、その企業の採用者が1人減ってしまったり、再度選考などの手続きを行わなければいけなくなってしまったりすることがある可能性を忘れてはいけません。
電話でお詫びの気持ちを伝えるためには話し方に注意する必要があります。話し方次第で相手に与える印象は変わってくるため、意識的に声のトーンや言葉遣いに注意して謝罪するようにしましょう。
電話をすれば辞退の意思やお詫びの気持ちは伝えることはできますが、辞退の意思を伝えたという証拠は残りません。そのため、記録として残るメールも重ねて送っておくとよいでしょう。
メールを作成する際には「内定辞退のご連絡」といったように、件名の内容を明確にしておくことが大切です。内定や入社に向けた手続きで採用担当者が忙しくしていると、メールをすぐに確認してもらえないこともあり得ます。
内定辞退は早急に伝えておくべき連絡となるため、すぐにチェックしてもらえるように一目でわかる件名にしておきましょう。
また、文章の構成はマナーを守った形式にすることも大事です。「お世話になっております」といった挨拶で書き出したら、自分の氏名を名乗ります。
その後は、すぐに内定辞退をしたい旨と、採用選考でお世話になったことへの感謝、辞退するお詫びの言葉を続けましょう。
そして、企業の発展を願う文章を添え、最後は必ず署名を入れておくことも重要です。また、お詫びや感謝の気持ちを精一杯伝えたいからといって長々と文章を書くことは、避けなければいけません。
相手が読む負担を少しでも軽くするために、ポイントを押さえて端的に文章を作成するようにしましょう。
内定辞退を直接伝えなければいけなくなったら?再応募は可能?特例ケースの対応の仕方
内定辞退は、通常であれば、電話やメールをすることで済ませることが可能です。
しかし、企業のなかには、担当者に直接会って伝えるように求められるケースもあります。電話やメールであれば対面ではないため、表情や態度からダイレクトに相手の気持ちを察することはありません。
しかし、直接会って話すと、その場の空気から本当の気持ちが伝えづらくなる場合もあるでしょう。
内定辞退は重要な決断です。ほとんどの人は、本当に辞退してよいか決断までに十分に検討していることでしょう。しっかりと考えて決めたことであれば、採用担当者を目の前にしても、動じずにきちんと辞退の意思を伝えなければいけません。
内定辞退はルールさえ守れば法的にも問題のないことです。企業から直接会って話したいと希望してきた場合には、内定辞退を引き止めようと考えている可能性は高くなります。
話をしているうちに心が揺らぎあいまいな態度を取って後悔することにならないように、企業を訪問する前に伝えたい内容を整理しておくと安心です。
また、十分に考慮したうえでの内定辞退であっても、その後、やはり入社したいと考えが変わる可能性はゼロとは言い切れません。そのようなケースでは、一度辞退している企業に再応募できるのか気になることでしょう。
結論からいうと、再応募は可能です。企業が募集さえしていれば、ほかの応募者と同じようにチャンスはあります。内定辞退者が複数出れば、時期を見て再度募集をかける場合もあるものです。
ただし、当然ながら一度内定を受けているからといって選考で優遇されることはありません。書類選考など最初から受け直すことが通常です。また、一般的には内定辞退者に対する企業の印象はよいものではありません。
同じ条件の志望者に比べるとハンデがあると思っていたほうがよいでしょう。さらに、企業によっては採用規則で再応募ができない期間を設けているところもあります。
内定辞退後に再応募をする場合には、事前に応募が可能であるかを確認し、応募が可能であった場合には、なぜ内定を辞退したのか説得力のある理由を用意しておくことが必須です。
また、内定と内々定では断り方が異なりますので、「内々定と内定について就活生がきちんと知っておくべきこと」こちらの記事もご確認ください。
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内定辞退は可能!ただし電話とメールで誠意ある対応を
内定辞退は正式に承諾の書類を出したあとでも行うことは可能です。
しかし、一度約束したことを取りやめることで企業に迷惑をかける責任の重さはしっかりと感じなければいけません。
また、別の企業に就職しても、いつか仕事で関わることになる可能性もあります。
内定辞退をする際には、後々トラブルが起きることなく、気持ちのよい終わり方ができるように、電話とメールのダブルで誠意ある対応を取るように心がけましょう。
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